【TVメモ】中国企業に買収された修善寺旅館の話がなかなか示唆的「中国人社長がやってきた 伊豆修善寺 “温泉ホテル”の9か月 by Next(NHK)」
本日のTV番組:中国人社長がやってきた 伊豆修善寺 “温泉ホテル”の9か月 by NEXT (NHK)
修善寺の旅館を中国の旅行会社が買い取った案件を9ヶ月追ったドキュメント。
なかなかに示唆的だった。
<チェック>
中国企業側の戦略
- 数百部屋の規模で、買収額は5億円
- 修善寺自体は日本人の目からは寂れつつあるものの、中国人目線からは十分魅力的(”きれいな空気”を魅力の一つとして挙げていたのは印象的)
- 東京と大阪を結ぶ中国人の日本旅行の”ゴールデンルート”の途中に位置するので、旅行会社としては利用価値が高い。今後も”ゴールデンルート”で旅館、バス会社等を買収予定
中国企業下での運営
- 売り上げ・利益最優先でとにかく効率を追求。
売り上げ目標をどんどん引き上げ、達成にプレッシャーをかける一方、人は増やさない - 中国からの圧倒的な送客力を背景に、稼働率を2倍以上(40%から80%以上へ)に引き上げて2ヶ月で黒転させた上、この旅館に入りきれなかった客を別の旅館へも紹介
- サービス、売店等は中国人向けにカスタマイズ。
一皿ずつの提供より一度に提供(その方が豪華に感じるので中国人に好評)、修善寺に限らず北海道等の日本の土産を置く、高額サプリ等も売る
従業員はどうなるか
- 古き良き日本旅館方式が崩れて行くことを嫌った従業員は去るが、大体人員は中国本社から若い社員を送られる。残った日本人は厳しい中国からのプレッシャーの下で動き方を模索
<所感>
客を押さえている側の中国の旅行会社が日本で施設・資産等を狙ってさらにビジネスを拡大するのは自然な流れ。
とにかく客を押さえているので、売り上げも上がるし強い。
一方、客が変わるわけでこれまでのやり方は変えざるを得ない。
ある種ぬるま湯だったこれまでから脱却し、厳しいプレッシャーもかけられる環境で数字を出していかないと評価されない。(ちなみに、数字を出したらボーナスで報われる)
従業員は間違いなく大変になるが、これまでがぬるすぎたという言い方もできるのだろう。(稼働率40%の赤字の旅館だったわけで)
・・ということで、「中国企業に買われたら大変だなあ」という言い方もできるが、”経営”という面ではこの中国の旅行会社の方が正しい。
もし従業員側から見て居心地の良い職場(”働きがい”と”余裕ある生活”が両立された職場)を作りたい/維持したいのであれば、その分知恵をしぼらねばならないのだろうな。
ま、情報として目新しいというわけではないですが、「何となく中国企業に買収されるってこういうことだろうな」とすこしぼんやりイメージしていたものをリアルに見る事ができて面白い番組でした。